最後に,
です.ここで,分母の
固定資産 |
= |
有形固定資産 + 無形固定資産 + 投資その他の資産 |
|
= |
建物 + 構築物 + 車両及び運搬具 + 工具器具及び備品 + 土地 + ソフトウェア + 投資有価証券 + 長期貸付金 + ・・・ − 固定資産の貸倒引当金 |
は,長期使用・長期所有を目的とする現金化しにくい資産です.また,分子の
資本 = 資本金 + 資本剰余金 + 利益剰余金 + その他有価証券評価差額金 + ・・・
は,返済義務のない資金です(→「第 1 話:株式発行,そのワケ 〜 経営側から見たメリット 〜」).自己資本固定比率は,現金化しにくい固定資産を資本でどれくらい賄っているかを表し,中長期的な資金繰りを計るための指標です.自己資本固定比率が 100% 以上ならば,固定資産を債務に頼らず賄えることを意味するので,長〜い目で見て安心できます.例えば,設備投資に当てた長期借入金の返済が何年か後に苦しくなるとか,そのために事業用資産を売り払わなければならなくなるとか,そういう不安が少ないのです.ちなみに,自己資本固定比率 100% 以上の会社の割合は,国内全上場会社ベースで,5 割くらいです(2005.03 末現在).さ〜て,先ほどの(株)ユニシロの貸借対照表を参照しながら,自己資本固定比率を計算してみましょ.
ん〜,やはり good です.自己資本固定比率だけ見る限り,(株)ユニシロへの投資をためらう理由はやっぱり見当たりません.
上記 3 指標以外にも,短期的な支払余力を計るための指標として,
があり,中長期的な資金繰りを計るための指標として,
があります.流動比率は,当座比率に比べて分子の支払能力として見る範囲を広げてあり,例えば商品などの棚卸資産も支払能力として勘定しちゃいます.ただ,クミヤくんの場合,以前,流動比率で問題無いからと投資した先が過大な棚卸資産を抱えて経営危機に陥り,「(-□-;) ガーン!」な経験をした経緯があり,それ以来,流動比率は使っていません.固定比率は,自己資本固定比率の分母・分子を逆さまにしただけの指標で,自己資本固定比率の代りに使えます.が,数値が小さいほど良くて大きいほど悪いという性質は,単純なクミヤくんの感情を逆なでします.(-_-メ;) むかっ!という訳で,固定比率も使っていません.自己資本比率は,自己資本固定比率に比べて分母の固定資産を資産全体まで広げたもので,資産全体を資本でどれくらい賄っているかを表します.ただ,クミヤくん的には,「資本で流動資産まで賄う必要性は薄いだろうから,中長期的な資金繰りなら,固定比率を見れば十分」という見解です.
さ〜て,如何ですか?当座比率,現金比率,自己資本固定比率の 3 指標,ご理解頂けましたか?この 3 指標から見る限り,(株)ユニシロは経営が安定していて安心感がちょー強いです.資金繰り,経営破綻の心配は要らんでしょうし,資金の余力を活かした設備増強・買収などの積極増収策も期待できます.あとは,株式の投資価値と市場価格との比較でちょー割安だと判断できれば,思い切って買えちゃいますよね.
上記 3 指標のうち,あなたはどれを重視しますか?クミヤくんの場合,当座比率を最重視していて,この指標値が X% 未満の会社には投資しません.X が幾つか?それは企業ヒミツ.(-ー- ) ふふっ・・・当座比率を投資候補の絞込みに使っている訳ですが,他の現金比率,自己資本固定比率は,参考指標に留めています.というのは,まず,現金比率の場合,支払能力として見る範囲が小さ過ぎて,これで投資候補を絞り込むと,例えば営業債権を沢山持っている優良ノンバンクなんかが圏外に去ってしまうからです.また,自己資本固定比率の場合,支払能力を直接見る指標ではなく,重要度が劣ると思えるからです.
さて,安全性の財務分析も解ったところで,次回は,株式売買の判断方法です.