【税引前当期純利益(税引前当期利益)】
「税引前当期純利益(税引前当期利益)」は,経常利益に,特別または臨時の損益,つまり特別利益・特別損失を加減したものです:
税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 − 特別損失
当該営業年度の業績に,臨時損益(固定資産売却損益・火災損失・保険差益など)や前期損益修正(過年度引当金過不足修正額・過年度減価償却過不足修正額・過年度棚卸資産評価訂正額・過年度償却債権取立益など)までもヒックルめた,トータルの利益と言えるでしょう.最近,大手ゼネコンに,経常黒字なのに税引前当期純利益は大赤字という会社が目立ちます.バブルの後始末で,不動産損切りや子会社清算など,不良資産を一括処分しているためです.これらは臨時損失の好例ですね.大手ゼネコンの利害関係者には,お気の毒ですが・・・
ところで例の食品会社 F は,経常利益が 3,192 百万円あります.特別利益は,過年度に納めた法人事業税の還付金,過年度に繰入れた引当金の戻入益で,259 百万円あります.特別損失は,固定資産処分損,投資有価証券(長期保有目的で買った有価証券)の売却損・評価損,貸倒損失で,460 百万円あります.その結果,以下のように税引前当期純利益が計算されるのです:
税引前当期純利益 |
= 3,192 百万円(経常利益)+ 259 百万円(特別利益)− 460 百万円(特別損失) |
= 2,991 百万円 |
【当期純利益(当期利益)】
「当期純利益(当期利益)」は,税引前当期純利益から,法人税(国税)・住民税(地方税)を減じたものです:
当期純利益 = 税引前当期純利益 − 法人税・住民税
いわば利益の最終形で,利益処分の原資となります.配当金・役員賞与金・内部留保へ分配されるのです.ですから,株主・役員としては,法人税・住民税の税率が低いほどウレシイ!のです.ちょうど今,政府で,税率を引き下げる話が出てます.株主・役員はウハウハです.
さ〜て例の食品会社 F ですが,税引前当期純利益が 2,991 百万円あります.法人税・住民税は合せて 1,233 百万円です.その結果,以下のように当期純利益が計算されるのです:
当期純利益 |
= 2,991 百万円(税引前当期純利益)− 1,233 百万円(法人税・住民税) |
= 1,758 百万円 |