複利で財産を殖やそう
〜 億万長者へのシミュレーション 〜

(2000.04.30 初版,2000.05.27 改訂)


純資産 1 億円以上(資産 − 負債 ≧ 1 億円).ここでは,これを億万長者の定義とします.最近は,「・・・株で1億円作る!」なんて本も出版されてるようで,威勢のいい御仁も出てきやした.しかし,億万長者というと,ほとんどの人が 1 度は夢見,そして諦めるもののよう.実際,私の周囲の人達に聞いてみても,「億万長者になる方法?・・・そうねえ,ジャンボ宝くじに当たるとか,たまたま親が金持でその財産を相続するとか・・・」なあんてツレナイご回答.要は,ほとんどの人が「自力で億以上の純資産を築くなんて無理」と思ってるようなのです.
でも,果たしてそんなに難しいことなのか?私が思うに,「毎年コツコツ積立てながら複利で殖やす」という観点に立てば,それほど難しいことではなさそう.基本的なポイントは,ズバリ!
  • 積立金額を出来るだけ大きくする.
  • 複利年率は出来るだけ高く保つ.
  • 積立利殖の継続期間を出来るだけ長くする.
    「そりゃそうや.あたりまえやん!」てな感じなんですが,まあ,そうおっしゃらずに最後まで付き合って下さい.最後におまけ解説もあるんやに.フフフ・・・
  • 積立は若い内に,年をとったら運用で
  • 運用は安定的
    ここでは,毎年コツコツ積立てながら複利で殖やすとどうなるか,具体的にシミュレーションをしながら,上記ポイントを検証してみます.これで貴方も,21 世紀の億万長者!?

    まずはと,ちと計算の準備です.純資産ゼロから出発して,毎年,年初の純資産を複利年率 15% で運用して,年末に 100 万円積立てる,ということを 20 年間継続すると,財産は幾らになるでしょう?単位を 100 万円として,

    B1 1,
    B2 B1 × 1.15 + 1 2.15,
    B20 B19 × 1.15 + 1 102.44
    と繰返し計算を行って,答えはほんの 1 億円ちょいというところです.ええ,ほんの・・・えっ!?
    実は,複利年率 15% は絶大な力を持っています.元金を 5 年で 2 倍に増やしてしまうのです.「そんなに上手く行くかえ?」とお疑いの向きもござんしょうが,例えば,1946 年〜1997 年の戦後 51 年間のアメリカ株式のトータルリターン(利息配当・値上がり益などをすべて再投資した累積の複利利回り)は 12.2% だという調査結果があります.何となく,近いじゃないですかあ・・・ちなみに,1982 年〜1997 年の 15 年間に限ると 16.7%(> 15%)だそうな.メデタシめでたし.

    さて,上の問題を一般化すれば,n 年目の純資産額を Bn 円とし,複利年率 r,積立金額 S 円/年として,

    Bn (1 + r)n - 1
    r
    S (n = 1, 2, 3, ・・・)
    となりますが,忘れて下さい.

    【積立金額を出来るだけ大きくする】
    下のグラフは,複利年率 15%,継続期間 20 年は同じとして,積立金額 100 万円/年の場合と 50 万円/年の場合とで,20 年間の純資産額の推移を比較してみました.100 万円 / 50 万円 = 2 なので,どの時点で切っても前者と後者の格差はちょうど 2 倍となり,20 年目での純資産額は,前者 1 億 244 万円,後者 5,122 万円になります.この差はデカイ.ところが,時間に換算すると 4〜5 年の差となり,これは意外に小さい気もします.トップスピードで飛ばすか巡航速度で進むか,どちらがいいかは,人それぞれの人生観によるんでござんしょうか?

    積立金額による殖え方の違い(複利年率15%)

    【複利年率は出来るだけ高く保つ】
    下のグラフは,積立金額 100 万円/年,継続期間 20 年は同じとして,複利年率 15% の場合と 10% の場合とで,20 年間の純資産額の推移を比較してみました.当初は僅かの格差なんですが,時間とともに差は拡大し,20 年目での純資産額は,前者 1 億 244 万円,後者 5,727 万円になります.1.8 倍の格差です.時間とともに,最初ジワり,後でガツンと効いてくるのが複利年率の差なのです.

    複利年率による殖え方の違い(年100万円積立)

    【積立利殖の継続期間を出来るだけ長くする】
    下のグラフは,複利年率 15%,積立金額 100 万円/年は同じとして,継続期間 20 年の場合と 10 年の場合とで,純資産額の推移を比較してみました.20 年 / 10 年 = 2 倍程度かと思いきや,最終の純資産額は,前者 1 億 244 万円,後者 2,030 万円となり,5.0 倍の大差となります.継続はチカラなり.石の上にもあと 10 年どえーす.

    継続期間による殖え方の違い(複利年率 15%,年 100 万円積立)

    【積立は若い内に,年をとったら運用で】
    下のグラフは,複利年率 15%,継続期間 20 年は同じとして,積立金額も基本的に 50 万円/年で同なのですが,ある年なぜかボーナス 350 万円が入って来て積立てたとしまひょ.そのボーナスの時期に関して 1 年目の場合と 20 年目の場合とで,20 年間の純資産額の推移を比較してみました.20 年目での純資産額は,前者 1 億 103 万円,後者 5,472 万円になります.1.9 倍と意外に大きな差がつきます.理由???前者のように 1 年目で 50 万円しか積んでないときに更に 350 万円上積みするということは,純資産額を 8 倍に膨らますという絶大な効果をもたらします.一方,後者のように 5,000 万円以上積んだ後で 350 万円上積みしたところで,純資産額を数パーセント膨らませることしか出来ません.努力・苦労は若いうち,年をとったら悠々自適.これが,上手な世渡りなのです.ほら,そこの君,遊んでばかりおらんと・・・

    積立時期による殖え方の違い(複利年率 15%)

    【運用は安定的に】
    下のグラフは,積立金額 100 万円/年,継続期間 20 年は同じとして,複利年率が 15% 一定安定の場合と 30%,-15% 交互不安定の場合とで,純資産額の推移を比較してみました.どっちも同程度の運用力と思いきや,20 年目での純資産額は,前者 1 億 244 万円,後者 3,755 万円になります.意外にも 2.7 倍の大差です.焦らんと,コツコツ着実に行きまひょや.

    複利年率の安定性による殖え方の違い(年 100 万円積立)

    じゃ,そういうことで.

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